七年間の小さな大冒険
北九州市に住む梅田明日佳さん17歳。
小学校のときに出された授業外学習の宿題、自学ノート。彼は新聞の切り取りとその感想を書いた。小学三年生からはじまった自学ノートを彼は今も続けている。他の子供たちは小学校を卒業した時にはもうやめてしまった。彼のように新聞記事を読む、という内容をした子はいなかったようだ。
読者は先生と恐らく両親。小学生の時に大きな出会いがあった。さまざまな時計のコレクションを展示していた時計屋さん。見学後にまとめたノートを時計屋さんの社長に見せたところ、その社長のブログで紹介された。
小学校卒業後、家族以外で自学ノートの読み手がいなくなった。彼はいくつかの北九州市内の文化施設によく行っていた。そこで彼は母親とともに各館をまわり、館長や学芸員、司書の方に読んで欲しいと申し出た。そして、それを引き受けた何館かの施設の人びと。彼らは読んだノートにコメントを書いて返した。ノートを渡し、コメントをもらうその繰り返しが彼のモチベーションを高めた。彼のノートとそのレポートはノンフィクションの賞を何年も受賞するほどに至る。
自学ノートに没頭するようになり、彼は放課後はまっすぐ家に帰り、自学ノートを執筆する毎日となる。それまでは比較的活発に友達と遊んでいたのに、ひとりだけになり、中学に入っても部活にも入らない。自学ノートは熱心に取り組むが決してそれ以外の勉強も熱心ではない。受験の年になっても彼は自学ノートに取り組むばかり。
ある施設の館長は、長年スウェーデンに住んでいた。人口の少ないこの国で優秀な人材が多数輩出されるのはなぜか。一人ひとりの個性が伸びる教育にあるのではないか。一方で日本では?同じように勉強できるように、同じペースで学ぶように求められる。梅田さんは学校はおもしろくない、と言う。
ただユニークな少年を紹介するだけの番組かと思ったが違った。考えさせられる番組だった。
彼はこれからどんな人生を送るのだろう?