毎日新聞で紹介されて気になって読んでみた。
アイデンティティをテーマにした一冊。
著者は台湾生まれの日本育ち。
主人公は中国大陸生まれの台湾育ち。大戦後、逃げてきた蒋介石による統治下で育ったが大陸出身の両親の子であるため、父親がスパイ容疑で逮捕され、釈放後も獄中のトラウマで別人格のようになる。母親がはじめた雑貨店で生活的には救われた。幼なじみの設立した企業が日本支社を設立した際、支社長として奥さんと娘と日本へ移住。日本で二人目の娘も生まれた。
主人公の奥さんは生粋の台湾人。特に奥さんの父親は中華民国統治への恨みから日本への愛着がある。大陸出身の主人公はあまり受け入れようと当初はしなかったものの、主人公の母親とその友人に押されてその後の主人公の日本での活躍もあり、次第に評価するようになる。
そんな主人公の次女の結婚式の晩、長女から自分が好きなのは女性であると告げられる。
台湾人、日本人、中国人、それぞれのアイデンティティ。性別。フツウとは?ヨソモノとは?そういった問題を家庭から問う物語。
娘を持つ身としてクライマックスには泣いた。